コラム
第1話システムインテグレーション
執筆:2023.5.30 川村貞夫
1システムインテグレーションによって成否が変わる
システムインテグレーションという言葉は、一般にはあまり利用しません。しかし、社会の多くの場面で、システムインテグレーションが実施されています。たとえば、野球の監督は、メンバーの誰を選び、どのような打順とするかなどもチームというシステムのインテグレーションを行っていることに対応します。必ずしも年俸の高い有力選手を集めたチームが優勝するわけではなく、各選手の特質を考慮したチーム編成が重要であることは、良く知られた事実です。このように、システムはインテグレーションの方法によって、その性能が大きく左右されます。
2ロボットにはシステムインテグレーションが必要
ロボットはセンサ、コンピュータ、アクチュエータ、エネルギー源などの統合体です。したがって、ロボットを作ることはシステムインテグレーションを意味します。システムの構成要素は様々であり、同じ要素でも性能、価格、取り使い容易性などの特徴が異なります。システムインテグレーション担当者は、このような特性を各要素について理解したうえでシステム設計を行います。要素の組み合わせは多様であり、多くのソリューションを想定することが可能です。
3良いロボットシステムインテグレーションとは?
システムの各要素を巧みに組み合わせてインテグレーションします。その際、目的を達成する性能に加えて、インテグレーションする作業者の負担が少なく、システム全体の価格を安いことなどが優れたシステムインテグレーションの条件となります。同じ性能を生み出すのであれば、各要素は低価格で使い安いものが望まれます。そのような要素を組み合わせて目的の作業をロボットが実現するインテグレーションの方法を開発する必要があります。
4新しいロボットシステムインテグレーションが必要
ロボットのシステムインテグレーションの方法は、様々なテキストブックに掲載されてきました。そこには先人の努力の成果が集約されています。これらの既存の方法によって、確かにロボットのシステムは実現できます。しかし、システムインテグレーションには様々な方法の提案が可能です。今後のロボット開発、特に産業化には、新しい発想のシステムインテグレーションが必要と思われます。